こんにちは。
埼玉県草加市、東京都足立区を中心に仕事をしている石材店、篠原石材の篠原匠です。
ここ最近は雨の日が続いていて、なかなか現場での工事が進みません。
そんな日には作業場にて、据付けの下準備として石の加工を行います。
現場での据付けをするにあたって石をそのまま置くのではなく、お墓としての品質を高めるためにあらかじめ加工をしておきます。
当社では下準備として主に
・接着面の荒らし
・補強金具の取り付けに必要な穴あけ
・目地が均等できれいに見えるようにする高さ合わせ
などを行います。
今回は特に重要で時間をかけて行っている「荒らし」についてご紹介します。
当社ではモルタル施工を行う際にこの加工を行っています。
さて早速「荒らし」とは何か?
一言で言ってしまうと、平らな面を凸凹にすることです。
これだけでは何をどうしてやっているのか伝わらないと思いますので、詳しく説明します。
まず、現代のお墓で使用される石は基本的にすべての面が平らに切削されています。
なぜかというと、平らな方が運搬しやすく、切った後の磨く工程にも移りやすいためです。
一昔前は小さい機械や手による加工だったため、見えない部分は凸凹のままになっているのが普通でしたが、現代では大きくて高性能の機械が使えるようになったため、まっすぐ平らに切ることができるようになりました。
ところが平らに切った面は地震などの揺れに対して、摩擦の力が弱いため、ずれやすい状態になってしまっています。
そこで接着面を荒らすことで、凸凹を多くして摩擦の力が強く働くようにします。
荒らしたところは凹んでいて、据付けの際にこの凹んだ部分にモルタルが入って固まるので横にずれにくくなります。
こんなイメージです。
荒らし加工の手順としてまず最初に、カッターで石に切り込みを入れていきます。
ほこりが出るので、手元には集塵機のホースを置いてほこりを吸い込みながら切り進めていきます。
切り込みを入れたら、その切り込みに向かってノミとセットウを使って大きくむしるようなイメージで石を取っていきます。
カチンカチンといい音が響きます。
余談ですが、この時の音は石種によって、全然違う音になります。
硬い石ほどキンキンと響く高い音になり、特に黒系統の硬く密度の高い石だとまるで金属を叩いているかのような音がします。
こうして荒らし終わった状態がこちらです。
真ん中の部分がくぼんで表面が凸凹になっているのがわかると思います。
ちなみにこちらの面が下で基礎コンクリートと接する面になります。
手前の左側も荒れていますが、これはこちら側にも同じ段の石がくっつくためです。
もちろんもう片方の石のくっつく部分も荒らします。
このくっつく部分を合口(あいくち)と呼び、合口には据付け後に柔らかいモルタルを流し込んで固定します。
こうすることで下面だけでなく横面の凹んでいる部分にもモルタルが入るのでより一層強度が増します。
これを繰り返しながら石を積んで外柵部分を作っていきます。
荒らしの加工は時間も手間もかかりますが、より強いお墓を作るために重要な工程です。
また、これを自分の手でやることで、色々な石を触る機会が増えて加工技術の研鑽にもなるので、しっかりと行うようにしています。
以上、当社がこだわりを持って行っている「荒らし」についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
少しでもその意味が伝わっていれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
篠原石材工業有限会社
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