こんにちは。
東京都足立区、埼玉県草加市、川口市を中心に仕事をしている石材店、篠原石材の篠原匠です。
お墓の石が動いてしまっているとのご連絡を頂いたので、現場を確認しに行きました。
行ってみると、明らかに柵石の「もち送り」と呼ばれる部分が動いていました。
下の写真を見ると、石と石の隙間が空いてしまっているのがはっきりとわかります。
左側ほどではないですが、反対側も同じように隙間が空いています。
このもち送りという部分は、墓所の階段脇にあることが多いので、階段を登るときにちょっと手をついてしまうことがよくあります。
据え付けてからしばらくの間は、手を付いて力を加えても問題ありませんでしたが、経年劣化とともに固定効果も弱くなって動いてしまったものと思われます。
また、石を外してみてわかったことですが、荒らし加工がなぜか片側の石(動いてしまったもち送り)にしか施されていないので、隙間のモルタルによるずれ防止効果もあてにならない状態でした。
赤で囲った部分が磨いたままの状態です。
下の写真を見てわかるように、ここにくっついていたもち送り側は荒らしてあったので、その部分にモルタルがしっかりとくっついています。
セオリー通り、反対の小柱側も同様にきちんと荒らしてあれば動いていなかったのではないかと思います。
今回動いてしまっている石は持ち送りだけで、隣の小柱やその奥の柵石は動いていなかったので、持ち送りのみの据え直しとしました。
小柱も動いてしまっていたら小柱側も荒らし加工をして、モルタル施工をしてもよかったのですが、動いていなかったので、今回は耐震ボンドによる据え直しを提案させていただきました。
お施主様にもご了解いただき、施工に移ります。
施工の様子
まずは石を取り外して、くっついているモルタルを取り除きます。
下面にも付いているので順番に外していきます。
その後、持ち送りと持ち送りがくっつく部分の石を洗浄します。
ここでちゃんときれいにしておかないと、ボンドの接着効果が薄れてしまいます。
また、目地の仕上がりが悪くなるので、黒い水あかも落としておきます。
下の写真は水あかを落とす作業の途中ですが、左側はすっきりと落ちているのがわかると思います。
洗浄が終わったら、穴あけの加工を行います。
穴をあけたところにステンレスの芯棒を入れて、動かないようにするためです。
ここまでしなくても大丈夫な気もしますが、念には念を入れ、より丈夫に固定されるよう施工を施します。
持ち送りの石にも穴をあけて、据え直しの準備は完了です。
あけた穴に耐震ボンドを詰めてステンレスの芯棒を入れ、接着面にも耐震ボンドを付けて持ち送りを据え直します。
この耐震ボンドはエポキシ系といわれる、がっちりと固まって接着力が強力なボンドです。
位置や高さ、水平などを調整して据え直しは完了です。
目地部分に養生テープを貼って、仕上げの目地入れを行います。
こちらは先ほどのボンドとは異なる特長を持つシリコーン系のボンドを使用します。
水の浸入に強く、弾力性に優れたタイプのボンドです。
基本的に接着面の接着はエポキシ系、目地や水の浸入対策にはシリコーン系と、その特長に合わせて適材適所のボンドを併用しています。
目地が終われば作業は完了です。
ボンドがしっかりと固まれば手を付いたくらいでは動かない状態に接着されます。
が、念のためお施主様にはなるべく手を付かないようにお願いをしておきました。
一般の方の感覚として、石は重いし、お墓などの石はきちんと固定されていると思われがちですが、意外と簡単に動いてしまうことがあります。
特に注意が必要なのは古い石です。
昔の施工は石を置いて、がたがたするのをセメントや鉛で止めただけというのがほとんどですので、力を加えると簡単に動いてしまいます。
ふとした拍子に手を付いてしまうと、石が動いて怪我をしてしまう恐れがありますので、お参りの際には十分に注意していただければと思います。
また、動いてしまっている石に気がついたら、なるべく早めに適切な処置をするようにしてください。
よろしくお願いいたします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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