こんにちは。
埼玉県草加市、東京都足立区を中心に仕事をしている石材店、篠原石材の篠原匠です。
9月26、27日に当社も加盟する、日本石材産業協会主催の「国産銘石アドバイザー研修」に参加してきました。
今回は当社でよく使う茨城県の真壁小目石と稲田石の研修ということで、採石場や加工場などを見学してきましたので、それぞれの石の特徴や採石場の様子などをご紹介します。
真壁小目石については前回の記事でご紹介しましたので、今回は稲田石についてです。
2018/09/28 採石場と加工場の見学に行きました(真壁小目石)
稲田石とは?
稲田石は茨城県の県央に位置する笠間市稲田地域から桜川市にかけて産出される石です。
当社では外柵材として使用することが多い石です。
(余談ですが篠原家のお墓も外柵は稲田石を使っています)
写真を見てわかる通り、稲田石の特徴はなんといってもその美しい白さにあります。
「白い貴婦人」とも呼ばれるくらい、上品な白さが目を引きます。
磨き仕上げがきれいなことはもちろんですが、小叩き仕上げ、ビシャン仕上げ、こぶだし仕上げなどといった石の肌を見せる仕上げ方だと、より一層白さが際立ちます。
こちらの写真は稲田石小叩き仕上げの外柵です。
クリーニング後の写真ですが、石の白さが際立っているのがわかります。
質の面でも、比較的生成された年代が若いこともあり石の組織がしっかりしていて劣化が少ない良質な石です。
真壁小目石もそうでしたが、稲田石も最高裁判所や日本銀行本店、日本橋など数多くの有名建造物に使われているほか、夏目漱石のお墓や皇族御陵などにも使われています。
明治時代に国策による近代建築の推進が図られ、大消費地である東京に近かったことや高品質の石が安定して供給できたことから、稲田石が様々な建造物に使われました。
国のお墨付きをもらった良質な石であることは間違いなく、建造物だけでなくお墓の材料としても多く使われています。
当社の建立事例ではこちらのお墓の外柵で稲田石を使用しています。
採石場の様子
稲田石の採石場はこんな感じです。
岩盤から切り出す大きさがとても大きいです。
赤で囲んだ部分の人と比べるとその大きさが実感できると思います。
ただ切り出す岩盤の大きさがこんなに多くても、目視で傷があればそのブロックは丸々墓石としては使えないそうです。
採石場にも使えない石がこんなに積み重なっているところが何か所もあります。
目視で傷が入っていたり、サビが出ていたりした場合、その石は埋め立てや砕石として使われます。
稲田石採掘の歴史は古く、明治22年から本格的に採石事業が始まったと言われています。
それだけ採ってきた石の量が多いということがわかるのが下の写真です。
採石場の方の話だと、かつては赤線で示したところまで山があって、右側の山と左側の山がつながっていたそうです。
それを100年かけて今の盤まで掘り下げてきたということで、一体どれだけの石が採られたのかと思います。
それくらいの稲田石が墓石であったり、建築物であったりに使われたということに改めて驚かされます。
加工場の様子
稲田石は切り出す際に大きなサイズで採ることが出来ます。
そういった点も大きな建築物に使われる理由になったのだと思います。
ですので、採れた石を小割りする場所に運ぶのに20トンまで運べるフォークリフトを使うとのことです。
もはや大きすぎて想像がつかない数字です(笑)
運ばれた石を割るのは、石に穴を開けてせり矢という道具を入れて叩いていきます。
原理は以前ご紹介した、石の小割りと同じですが、大きさが違うので迫力があります。
2018/05/26 石の小割作業を行いました
そうして小割りした石が真壁小目石の記事でご紹介したような工程を経て、墓石になります。
まとめ
今回は稲田石をご紹介しました。
真壁小目石の採石場でもそうでしたが、やはりスケールの大きさがとても印象的です。
本当に山を切り出して採っているというのを実感して、作り手の一人として、石に感謝して、そして石に対して責任をもって仕事をしなければいけないなと感じました。
また、他の石についても採石場を見学したり、積極的に勉強していきたいです。
見学した場合はこちらでもご紹介しますので、その時をお楽しみにしていただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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