こんにちは。
埼玉県草加市、東京都足立区を中心に仕事をしている石材店、篠原石材の篠原匠です。
突然ですが、みなさんのお墓には文字が彫ってありますか?
まずお墓の文字と聞いて思い浮かべるのは正面に彫ってある「○○家之墓」や「南無阿弥陀仏などのお題目」だと思いますが、本日はそれよりも小さな文字で彫ってあるお戒名についてのお話です。
多くのお墓には亡くなった方(そのお墓に眠る方)のお戒名や命日などが刻んであります。
当社では納骨法要の前後に文字彫刻の依頼を受けることが多くあります。
最近ではお墓の石を作業場に持って帰らず、その場で作業をする「現場彫り」で文字の彫刻をすることがほとんどです。
現場で作業をしていると、お墓参りにいらした方によく声をかけていただきます。
お話をする中で「お墓に字を彫っています」と言うと、ほとんどの方が「お墓の字ってそうやって彫るのね」とか「初めて見ました」とおっしゃいます。
お墓に字が彫ってあるのは当たり前のように見ていますが、実際に彫っている場面はなかなか見る機会がないと思います。
そこで本日はお戒名の追加彫りについて、ご紹介したいと思います。
◆どうやって彫るの?
最近ではほとんどの場合、サンドブラストという方法で文字を彫ります。
これは専用の砂のようなものを、圧縮した空気で吹き付けて石を削っていく手法です。
吹き付ける砂はこんな感じの砂です。
ちなみにお墓の正面字のように大きい字を彫る場合はもっと荒いものを使います。
これを吹き付ける際に、彫る部分となる文字以外を傷つけないようゴムシートを貼って保護します。
(ゴムシートの詳細は後述します。)
◆現場の確認
ご依頼をいただいたら始めに現地を確認します。
彫る場所、石の種類、すでに字が彫られているかを主に確認します。
すでに彫ってある字がある場合は、それに合わせて追加彫りをしますので、その文字の拓本を取ります。
◆ゴムシートを切る
取った拓本や竿石の寸法に合わせて、ゴムシートを切ります。
間違いのないよう、いただいた原稿をもとに確認を重ねながら慎重に作業を進めます。
彫る部分(文字の部分)のゴムシートがないのがわかると思います。
この部分に字彫り用の砂を圧縮した空気で吹きつけていきます。
ゴムシートがある部分は、石がゴムシートに守られるので砂が当たらずきれいなまま残ります。
◆ゴムシートを貼る
ゴムシートの準備ができたら、ここからは現場での作業です。
実際に彫る位置を割り出し、そこからずれないように丁寧に貼ります。
ゴムシートを貼り終わったら周囲を養生して準備は完了です。
◆砂で吹く
準備ができたら、いよいよ彫り進めていきます。
彫り方もただ文字の上をなぞっていくのではなく、筆で書くときの力の入れ具合や線の太さを意識しながら彫っていきます。
力が入る部分や線の太い部分は深く、反対に力を抜く部分や線の細い部分は浅めに彫るとメリハリのあるきれいな字に見えます。
彫り具合を確認して問題なければ彫る作業は終了です。
◆塗料を入れる
特に白い石や色の薄い石では、彫った部分が見えづらいので塗料を入れます。
塗料の色は地域や宗派によって異なりますが、当社の作業範囲では白塗料を入れることがほとんどです。
塗料を入れ終わったら周りを掃除して追加彫りは完了です。
◆大切にしていること
いかがだったでしょうか。
作業工程は多くありませんが、一度彫ったら元には戻らない仕事ですので、どの作業も慎重に進めることが必要です。
そんな中で特に大切にしているのは
・丁寧に心を込めて彫ること
・間違いのないように彫ること
・見栄えをよく彫ること です。
お墓参りをして彫ってある文字を見るたびに、亡くなった方のことを思い出して偲ぶ気持ちに寄り添えるよう、心を込めて丁寧に確実に彫っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
篠原石材工業有限会社
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